目薬が差せません。


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思慕



「医療ミスなんか、いいんじゃないかと思うの」
 突然友人がそんなことを言い出したので、僕は首を傾げた。
「どういうこと?」
「死因。補償とか出るでしょ?」
 わたし今、自分が生きることより自分が死ぬことの方が希望を持ってお話できるのよね。
 そう言って彼女は楽しげに笑った。
 追従して笑うことができなかった僕は、そっかとしか言えなくて。
 彼女の葬式で香を焚きながら、そんなことばかり思い出していた。






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